2010年03月07日

市民による情報発信の成果、書評 市民メディアの挑戦(松本恭幸著、リベルタ出版)

市民による情報発信の成果
書評 市民メディアの挑戦(松本恭幸著、リベルタ出版) 隅井孝雄
No. 32, 4/25/09

これは2009年4月25日 「ジャーナリスト613 号」(日本ジャーナリスト会議)に掲載された。 
      
 昨年7月の北海道G8サミット。ここでは市民グループの手により札幌市内三か所に市民メディアセンターが開設され、国内外に向けてのインターネット配信、衛星を利用しての映像やラジオ放送の全世界への発信を行った。特にコミュニティー放送の分野ではドイツ、メキシコ、セニガルなどAMARC(世界コミュニティー放送連盟)参加局が多数参加したことも注目される。
 本書ではここまで大きく発展しつつある日本における市民メディアの歩みをたどり、克明な取材で実態を明らかにした。パソコン通信、ビデオジャーナリストなど前史にわたる部分の後、コミュニティーFMなど市民参加のラジオ・テレビ放送、市民映像祭、上映会、インターネット新聞など充実した現状ルポが続く。そして市民メディアが担う役割、メディア教育などについて分析し、巻末では地方自治への市民参加、ジャーナリズムへの市民参加など興味深い提言が行われ、市民メディアのネットワークの拡大と、担い手のすそ野拡大が必要だと説いて締めくくられる。
 本書では市民メディアという概念を、電波、ケーブル、インターネットなどの情報ルートの中に確保された市民のパブリックな言論空間の実現、既存メディア空間へのアクセス、市民による情報コミュニティーの形成など動的にとらえている。最近社会的発言を増したブログへの言及がないのが私としてはやや不満である。
 メディア発信を試みる市民、そしてメディアのあり方を模索するジャーナリストの一読をすすめたい。


posted by sumiitakao at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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