2010年03月29日

テレビ評 12月8日と戦争

テレビ評 12月8日と戦争
No.43 1/13/10 隅井孝雄 

これは「Galac」2010年3月号(放送批評懇談会)のギャラクシー賞テレビ部門作品についての批評として掲載された。

2009年12月、日米開戦を話題にした「真珠湾の謎」(NHK総合12月6日)、「太平洋戦争への道」(NHK総合12月7日)、「障害者たちの太平洋戦争」(NHK教育12月6日)などの特集番組が放送された。12月8日についてニュースでの扱いがほとんどなく、民放も関連番組が皆無だったことに比べ、NHKの意欲的な取り組みが目を引く。
ニュースには決まりものというジャンルがある。真珠湾を屈辱の日とするアメリカでは12月7日にテレビが必ずニュースで扱う。日本では、原爆投下、敗戦へと続く8月にはニュース、慰霊式典中継、そして数々の報道番組が放送される。戦争に敗れた記録を振り返ることによって、戦争につき進んだ時代への反省とするというのはある意味では分り易い。しかし「戦果」を上げたかのようにみえる「真珠湾攻撃」のニュースに、当時、国民の間から鬨の声が上がった。「反省への糧」とすることは容易なことではない。
NHKは昨年8月「日本海軍400時間の証言」を放送した。英米との全面戦争へと大きく舵を切った戦争当事者たちが「戦争への道」を語ったもので、大きな反響を呼んだことは記憶に新しい。この番組が改めて「真珠湾」を見直すきっかけになったものと思われる。また昨年8月に国際共同制作の「よみがえる第二次世界大戦」(3回シリーズ)をNHKBSが放送したことも、12月の特集につながっているのではないか。
「真珠湾の謎」の場合、当時大本営は特殊潜航艇の魚雷が戦艦アリゾナを撃沈したと大々的に発表、乗り組んだ兵士たちを「軍神」とした。だがこの番組では、その事実を否定、大本営の「世論操作」であることを明かにした。新聞各紙やNHKの報道によって国民の戦意は高揚し、「特攻」は日常となったことを考えると、この番組自体、69年目の誤報“の検証という重大な意味合いを持つ。
今年は朝鮮併合100年という歴史の節目にあたる。「なぜ戦争を始めたか」を繰返し問い直す番組が数多く制作されることを期待したい。
posted by sumiitakao at 19:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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