2010年03月19日

テレビ評 ドラマ「遥かなる絆」 NHK

 テレビ評 ドラマ「遥かなる絆」 NHK
 No 36, 2009.8.6

 これは「Galac」2009年8月号(放送批評懇談会)のギャラクシー賞テレビ部門月間賞の作品評として掲載された。

 このドラマの原作「あの戦争から遠く離れて」は大宅壮一ノンフィクション賞や日本ジャーナリスト会議賞など受賞している。作者の城戸久枝とは授賞式等で言葉を交わしたが、もの静かでおとなしい、ごく普通の日本人女性である。その彼女が壮大な規模で展開する日中関係の歴史に中に生きることになった軌跡をドラマでどのように表現するのかという興味で番組を見た。
「遥かなる絆」には3人の主役がいる。父親役城戸幹(孫玉福)、娘の城戸久枝、そして孫玉福の養母付淑琴だ。時代もミニ大河ドラマとでもいうべき構成で、終戦直後から文化革命にいたる中国、久枝が中国に留学し父の軌跡に触れる1997年前後、そして現在と三つに分かれる。原作は時系列での記述だが、ドラマではこの三つの時を交錯させ、綾織りのように組み合わせた。岡崎栄の演出だからこそ、日中の60年の歴史を俯瞰して感動を紡ぎあげたのだと思う。
 中国部分はドラマの起きた現地牡丹江近くの頭道河子の村などで撮影された。凍結している過去の中国の雰囲気がよく再現されていた。玉福を引き取って歴史を生き抜いた養母付淑琴を演じた中国の女優岳秀清の演技が印象的だった。時に悲しみの誇張があったが、大女優の風格があり、みごとであった。また孫玉福の幼児、少年、青年を中国の二人の子役と青年俳優が演じているが、顔も仕草も似ていてうまくつながり、特に青年孫玉福役グレゴリー・ウォンは熱演だった。
 残留孤児二世ではあるとはいえ、その苦難を全く体験せずに普通の日本の女の子として育った城戸久枝が父の足跡を訪ねるうち次第に中国に引き寄せられる様子を、鈴木杏がさりげない演技で好演した。なれない中国語という設定もぴたり。
 欲を言えば最終回。少年の幻影が出現、牡丹江を見つめての父の感傷的なセリフがあり、ジワリと盛り上がるはずの感動をそらしたきらいがある。もう少しさらりと終われなかったか。

「遙かなる絆」 2009年4月18日から5月23日放送、NHK総合
 原作 城戸久枝、脚本 吉田紀子 演出 岡崎栄、石塚嘉
 出演 鈴木杏、グレゴリー・ウォン、岳秀清、加藤健一
posted by sumiitakao at 13:24| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
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ご迷惑だったらすみません。突然、失礼しました。
SfcqF577
Posted by yujin at 2010年03月19日 17:54
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