2010年03月21日

テレビ番組評 録音盤が語るNHKの戦争協力

 テレビ番組評 録音盤が語るNHKの戦争協力
 ETV特集 シリーズ戦争とラジオ 第一部 放送は国民に何を伝えたのか
 No. 38 8/16/09 隅井孝雄

 これは8月16日にNHK総合ETV特集で放送された戦争とラジオ、第一部「放送は国民に何を伝えたか」の番組評で、「Galac」 2009年11月号(放送批評懇談会)のギャラクシー賞テレビ部門月間賞作品評として掲載された。

 第二次大戦中NHKのニュースを視聴者が録音していた、その録音盤がある。今もそれを所持している高橋映一さんは多くを語らないが、録音されたニュースは多くのことを私たちに語りかける。
 NHKの番組やニュースの録音盤は敗戦直後焼却され、あるいは打ち壊されてほとんど残っていない。番組の中で再生された録音盤は沖縄特攻出撃の実況やサイパン玉砕のニュースなどであった。いわばNHK戦争協力の動かぬ証拠が出現したといえよう。
 NHKはこの放送が端的に示すように、国民の戦争協力心を高めるキャンペーンを、総力を挙げて展開したといえよう。NHKが主催した「起て一億の夕べ」(日比谷公会堂)の実況も録音が残っているが、それを聴くとその実態がよくわかる。
 残っている戦争中のニュース原稿をめくると、同盟通信から来た原稿を「放送用に書き直した」ことがわかる。それは単なる用語の書きなおしではない。日本軍機が一部未帰還だという記述を消し去り、「私ども一億国民も本土の守りに万全を期したいと」と加筆し、第一線将兵の闘志を強調する文言が加えられている。
 新聞の場合は記事が残ることもあって、戦争責任の追及は戦後すぐに始まった。最近でも戦時中の紙面を検証する作業が続いている。NHKが録音盤を発掘し、そして自らの手でどのような責任を負っているのかを明らかにしようとするこの番組を私は高く評価する。
 戦時中の「放送研究」などを元に、当時のNHKの制作、企画責任者たちの座談会が紹介されている。ドラマ仕立ての再現ではなく、分析的な造りにした方がよかったのではないか。
 当時の報道部員は取材しない。政府や軍の発表、同盟通信の配信を書き写すのが仕事。それをアナウンサーが読みあげた。ジャーナリズム機能を持たないまま広報宣伝機関として役割を担わされたNHKの戦争責任をどのように問うのかが今後に残された。
 隅井孝雄

 ETV特集、シリーズ戦争とラジオ、第一回「放送は国民に何をつたえたのか」
 放送 2009年8月16日 22:00-23:30
 語り 小野卓二、取材、鈴木政信、鈴木正徳、デャレクター 大森淳郎
posted by sumiitakao at 14:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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