2007年12月07日

変動と変革の中にある世界、どうなる、どうする孤立する日本

 変動と変革の中にある世界、どうなる、どうする孤立する日本

これは2007年2月24日、京都府職員退職者の会で行った講演の要旨である。
場所は京都堀川下長者町のホテル、ルビノ堀川。

 1.9.11体制とアメリカ一国支配の崩壊
 2006年11月、アメリカの中間選挙で民主党が下院で圧勝、上院でも一議席差であるが民主党が競り勝った。この結果これまで共和党が支配していたアメリカ議会は民主党の支配に移った。アメリカが2001年の同時多発テロ以来続けてきた国際戦略、いわゆる9.11体制は事実上崩壊した。
 イラクでは依然として武装グループとの激しい戦闘が続き、テロ攻撃が続発して、平和は戻ってきていない。ブッシュ政権は多数のアメリカ国民の願いに反してイラクにさらに米軍を増派、戦闘を継続している。しかし9.11を契機にしてアメリカが推進した超大国による世界支配の戦略は終焉の時を迎えた。
 アメリカと行動をともにしてきたイギリスのブレアー政権すらイラクからの撤兵を開始することが2月20日明らかになった。同じようにブッシュに全面協力して軍隊を送ったイタリアでもベルルスコーニ元首相が退陣、イラク派兵に反対していた中道左派のブロディー首相が誕生、3000人に上っていたイタリア軍は2006年12月までにすべて撤退した。
 フランスやドイツは開戦時からアメリカのイラク攻撃に反対していた
 1989年11月ベルリンの壁崩壊、1991年12月ソビエトが崩壊して1950年代以来の冷戦が崩壊した。世界はつかの間の平和を享受したのだった。そして誰もが輝かしい21世紀の扉が開くと希望に胸を膨らませた。しかし2001年9月11日、ニューヨークの貿易センタービルとワシントンDCの国防総省ビルにハイジャックされた航空機が突っ込み、歴史は暗転した。「これは戦争だ」と叫ぶブッシュ大統領のもと、10月7日アメリカはアフガニスタンを空爆、12月タリバン政権が崩壊した。2002年12月、カルザイ政権発足したが、それに飽き足りないアメリカは2003年3月イラク戦に突入、フセイン政権が崩壊し、2006年5月イランに新しい政権(マリキ首相)が発足した。しかしイラクは安定化に進むどころか宗派対立とテロ攻撃は激化し、アフガニスタンでもアルカイダによるテロ攻撃が再び激しさを増している。
 仮にアメリカ軍がイラクから撤退したにしても傷が残る、平和が回復する保証はない。
 政治や軍事面でアメリカの一極支配は崩壊の一途をたどっている。しかし世界の不安定要素は拡大している中、中東に平和を取り戻す新しい国際協調が必要である。
 親米のエジプトやサウジアラビアはもとよりアメリカが敵視しているシリアやイランの協力も必要である。激しく敵対しているイスラエルとパレスティナが共存する新しい枠組みをなんとしても見出さなければならないだろう。イラクの安定はそのような中東全体の平和回復の道筋の中で実現するだろう。

 2. 世界は大きく変化している
 ヨーロッパ
 EUは2004年に東欧8カ国を含む10ヶ国が加入して東西ヨーロッパを統合した25カ国一大経済圏となった。今回1月1日さらにブルガリアとルーマニアを加えたことにより、人口5億9000万、国内総生産13兆ドル。27カ国。ついに黒海に達した。ナチス登場イライ70年にわたった東西分断の歴史が終わった。人口でアメリカを上回り、GDPでもアメリカと肩を並べた。日本のGDPの4.5倍となる。新しい勢力として世界に大きな影響力を持つ。

 インド 
 8%の経済成長が続く。IT市場300億ドル。頭脳集約型のハイテク産業が雇用を安定させている。ケイタイも月5000万人が加入、1億3000万人を昨年越えた。2010年には5億人に達する。毎年6000万人が中間層の仲間入り、いまや人口の半分4億人が中間層に。毎年フランスの人口と同じ中間層が出来る計算だ。オートバイや自動車が売れる、大型モールが出来る。貧困問題があるものの消費社会にまっしぐら。

 中国
 中国のマーケットに東南アジアが乗り込んできている。一方中国もアセアン諸国に進出。10カ国経済協力の枠組みを作っている。巨大な経済圏が登場したことになる。域内の18億の人口は北米の5倍近くとなる。
特にベトナム、ラオス、カンボジアなど新しいAEAN加盟国の経済発展と連動する可能性が注目される。中国はインドとも接近、経済統合がすすみ、巨大な中産階級が出現しつつある。
現在ではGDPではインド、中国ともアメリカ、日本を下回っているが2015年には両国をあわせればアメリカと肩を並べると見られる。

 ロシア
 いま石油高騰で景気が良い。経済好調。GDP7%台。 
2月11日プーチン大統領は中東の親米派といわれたサウジ、カタール、ヨルダンを訪れた。イラクの混乱状態を作り出して、中東で影響力を失いつつあるアメリカを横目に、中東で力を伸ばし、産油国の同盟を形成する。また新興経済大国であるインド、中国とも提携して石油、天然ガス開発、IT市場、軍事協力、ロケット打ち上げの協力などを進める。
ロシアのGDPは9750億ドル、中国、インドと合わせると4兆ドルになる。

 3. 憲法改正にすすむ安部政権、果たして国際的支持は?
 安倍政権は集団自衛権の行使の可能性を追求する政権である。アメリカが攻撃されれば日本が支援するため自衛隊が出動し、戦闘に参加する。そのために憲法改正が必要だというのだ。
しかし自衛だけに徹底するのであれば憲法は改正しなくともいいという考えもある。改憲せず現行の自衛隊を維持しても違憲ではないという憲法解釈を主張する意見は以外の多い。

 憲法改正
 アメリカは憲法9条が日米同盟の邪魔になっていると見ている。自民党は新憲法草案(改正案ではないことに注意)を発表した。それによれば自衛軍が創設され、その日本軍は海外派兵による"国際貢献"なるものを主要な任務にする。9条一項を形だけ残し、二項を変えて軍事力の行使を是認する、つまり戦争する国になるのだ。
 現在審議中の投票法案では、争点は年齢20歳か18歳かという年齢の問題がある。また投票法の適用を憲法に限るのか各種の国民投票にも準用するのか、反対を×にするのか、無記入にするのか。棄権は賛成と見るのか反対と見るのか、投票率の最低を定めるかどうか、などである。宣伝活動は政党比率か、賛否平等か、意見広告是か非かなども大きな問題をはらむ。投票法の自民党案だと、改正賛成が有利となり、投票法案の成立がそのまま憲法改正に直結する危険がある。教育者(大学教授も含む)や公務員は憲法についての意見表明が出来ない。それこそ憲法違反の投票法である。

 4. 世界の智恵が生んだ憲法9条
 現行憲法は占領軍の押し付けだといわれているが、事実は全く異なる。
 戦争放棄は国連憲章第二条に原文がある。また第一次大戦後のヨーロッパ不戦条約、フランス革命後の1791年共和国憲法がある(ナポレオンとヒトラーによって踏みにじられたが)。戦後のフランス共和国憲法を初め、イタリー、フィリピン、コスタリカなど13カ国に不戦の規定がある。
 日本国内でも、現行憲法の骨子となった「憲法問題研究会」の提言がGHQの草案にも盛り込まれ重要な役割を果した。

 5. 南極は非核、非軍事地帯、国際協力の実験場
 今年は南極観測50年だった。憲法9条は決して国際的に孤立はしていない。1959年12月1日ワイントンで署名、1961年6月公布された南極条約は、地球の憲法9条だといえよう。次のような骨子である。
 1. 平和目的のために利用する、軍事基地、軍事演習、兵器の実験は禁止する
 2. 観測結果の交換、自由な利用
 3. 核爆発、放射性廃棄物の処分の禁止
 4. ゴミはすべて持ち帰る

 6. 平和日本と国際的協力、イラクの教訓
 日本はアメリカに追従し。国際的に孤立している。
 サマワからは撤退したがイラクに海上自衛隊、航空自衛隊を派遣している。アメリカ海軍への給油活動も行っている。
 日米軍事同盟強化、一体化で日本はアメリカの前線基地としての性格をさらに強めた。
 北朝鮮の核兵器放棄の問題で被爆国としての役割を果たしていない。拉致問題のみに固執することで孤立化を招いている。
 中国市場に進出できていない。政治的な反発を受けているのに加えて、自動車産業中国進出の遅れ、ケイタイや通信機器の中国進出の遅れが著しい。自動車もドイツ車に大きく遅れをとっている。さらに成長著しいインドの市場も軽視し、無関心だった。
 日本は中東政策の遅れから、石油エネルギーの安定供給を確立できない。イラク派兵で、中東での信頼を低下させた。
 国際協調のための政策が不在である。移民、難民の受け入れに壁があり、国際的信頼を得ていないのに加え、労働力不足に対する政策がない。
 経済のインフラは回復しつつあり大企業は勢いを取り戻したが、その反面格差が増大し、雇用が低迷している。国民生活は圧迫されている。
 イラクの教訓
 軍事力では物事は全く解決しないということが誰の目にも明らかになった。戦闘に参加し命を失うのはごめんだ、アメリカとの同盟は必ずしも得ではない、危険だという世論が拡大している。日本は軍隊を送らない国だという信頼感が世界各地にあった。軍備と決別しても、日本は平和維持の役割はできる。ボスニア、カンボジア、東チモールなどでも大きな役割を果たした。思っている以上に日本ボランティアが世界中で活躍している。日本の経済援助も役立っている。
 新しい国際協調の枠組みを平和主義を前提にして組み立てる必要がある。

 



posted by sumiitakao at 13:16| Comment(1) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
押し後残します
Posted by 人妻 at 2008年01月26日 15:42
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